
こんにちは!
いわつか歯科クリニック副院長の岩塚久です。
「この歯は抜くしかない」と言われてショックを受けたことはありませんか?
近年の歯科医療では、できるだけ歯を抜かずに残す「保存治療」が注目されています。
1本でも多く自分の歯を残すことは、食事の楽しみや全身の健康にも大きく関わります。
この記事では、歯を残すための保存治療の考え方と、具体的な方法、そして日常でできる予防のポイントをわかりやすく紹介します。
1. なぜ「自分の歯を残す」ことが大切なのか
歯を失うと見た目だけでなく、かむ力や発音、あごのバランスにも影響が出ます。
また、1本の歯を失うことで周囲の歯に負担がかかり、連鎖的に歯を失うリスクも高まります。
人工歯やインプラントで機能を補うことはできますが、やはり「自分の歯」に勝るものはありません。
そのため、できる限り自分の歯を長く保つ「保存治療」が重視されているのです。
2. 保存治療とは?その考え方と目的
保存治療とは、虫歯や歯周病などでダメージを受けた歯を、可能な限り抜かずに治療・修復し、機能を保つ方法です。
歯を削る量を最小限に抑え、神経や根の状態を守ることを目的としています。
たとえば、虫歯の進行が深くても、神経を残す「根管治療」や「MTAセメント治療」などで歯を温存できるケースがあります。
また、歯の根の先に炎症がある場合でも、外科的に処置して歯を残す方法も選択可能です。
3. 主な保存治療の種類
① 根管治療(こんかんちりょう)
歯の中の神経部分に感染が起きた場合、根の中をきれいに洗浄・消毒して薬を詰める治療。
正確に行えば、抜歯せずに歯を残せる可能性があります。
② 歯根端切除術
根の先に膿の袋(嚢胞)ができた場合、歯ぐきを開いて炎症部分を取り除く治療。
根の上部がしっかりしていれば、歯を残せるケースもあります。
③ 再生療法
歯周病で溶けた骨や歯ぐきを再生させる治療法。
歯を支える土台を取り戻すことで、抜歯を避けられる可能性があります。
4. 歯を残すために大切な日常ケア
保存治療を成功させるには、治療後のケアが欠かせません。
歯を守るために、次のポイントを意識しましょう。
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毎日のブラッシングを丁寧に行う
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定期的な歯科検診で早期発見・早期治療
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食いしばりや歯ぎしりの対策(マウスピースなど)
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糖分や酸の摂取を控え、口内環境を整える
自分の歯を長く使い続けるには、治療だけでなく「予防」が何よりも大切です。
5. 抜歯と保存、どちらを選ぶべき?
すべての歯が保存できるわけではありません。
重度の歯周病や歯根の破折など、歯を残すことでかえって周囲に悪影響を及ぼすケースもあります。
重要なのは、「残すために最善を尽くす」ことと同時に、「将来の健康を見据えた判断」をすることです。
治療の選択肢を理解し、納得して決めることが後悔しない第一歩です。
まとめ:歯を守る意識が未来の健康を変える
保存治療は、「歯を残すための最後のチャンス」といえる治療法です。
自分の歯を1本でも多く残すことで、食べる喜びや健康寿命を大きく延ばすことができます。
早期発見と適切なケアが何よりも重要。
「抜くしかない」と諦める前に、歯を残す可能性について一度相談してみましょう。
執筆
いわつか歯科
副院長 岩塚 久
